日本人女性の香り

1919年にジャック・ゲランによって生み出された香水、Mitsouko(ミツコ)は、スパイシーなフローラル調の甘いローズ、ジャスミン、シナモンなどの調合。なかでもアンパーグラスはマッコウクジラの腸内の結石です。くじらが海上を浮遊しているうちに、日光と酸素によって酸化分解を受け香りを持つようになった化合物です。

ミツコとは、小説家のファレ―ルによって書かれた「ラ・バタイユ」のヒロインである、海軍大将夫人の名で、ゲランはこれを香水の名に付けました。厳格な年上の夫と暮らす年若いミツコは、若い英国海軍大佐と恋に落ちるが、不倫の愛を拒み続けるという内容です。日本人女性特有の要素が含まれています。

甘い桃の香りにより官能的だが、凛としていて容易く媚びない気品ある印象が、香水に反映されています。